第1巻「ヤクザの仔」

デビルクロニクル①「ヤクザの仔」

〝ヤクザの子〟であるがゆえにカタギ社会で壮絶な虐めと虐待を受けてきた孤児、降魔千優。だがそんな彼を生き地獄から救ったのもまた、ヤクザの子である毘沙門隼斗だった。隼斗は言った。「自分の『血』を決して恥じるな。おまえはこの街で胸を張って生きろ」──と。

あらすじ

ヤクザの父を抗争で失い孤児となった降魔千優(ごうまちひろ)と妹·白雪は、〝ヤクザの子〟であるがゆえに養護施設と学校で蔑まれ、壮絶な虐めの果てに千優は冤罪で久里浜少年院へ収監され、白雪は不良少年クループ「ケルベロス」に拉致強姦されてしまう。
弱者が弱者を蔑む差別と偏見に満ちたヘドロのようなこの世界に絶望し、妹と心中しようとした千優を救ったのは、四洲連合系二次団体──「毘沙門組」組長の息子、毘沙門隼斗(びしゃもんはやと)だった。
千優の父が、かつて「毘沙門組」組長を庇って死んだ自身の弟分·降魔麟太郎(ごうまりんたろう)だと知った隼斗の兄──「毘沙門組」若頭·毘沙門拳伍(びしゃもんけんご)は、千優と白雪を家族として温かく迎え入れた。
隼斗の男気と優しさ、そして誰よりも熱い情熱に触れ、まるで春の雪のように溶かされてゆく千優の心と身体──。
だがそんな千優の幸福を嘲笑うかのように、不穏な影はひたひたと足下まで迫っていた。
この数ヶ月の間に、四洲連合系組長三人が不審な失踪を遂げていたのだが、彼らは消える一年前、日本最大規模の指定暴力団「阿修羅一家」の三次団体──「猪狩組」組長、猪狩義仁(いがりよしひと)と接触していた。

〝舜帝〟こと「四洲連合」若頭──帝釈舜(たいしゃくしゅん)は、この一連の〝神隠し〟が四洲連合を手に入れようと画策する「阿修羅一家」の陰謀と確信し、自身配下の精鋭を護衛として各組織に派遣した。
飽くことのない極道達の縄張り争い。
日本の裏社会は今、風雲急を告げようとしていた──。
戦後から続いた極道たちの抗争は、二〇〇〇年代の初め、大阪に本拠地を置く「阿修羅一家」の勝利で幕を閉じた。
なかでも〝第六天魔王〟の異名を持つ広島出身の若頭──仙波旬一郎(せんばじゅんいちろう)率いる「仙波組」は、死をも恐れぬ殺戮集団として全国にその悪名を轟かせていた。
だが、そんな日本最大規模の暴力団組織「阿修羅一家」にも〝目の上の瘤〟はあった。
「神」の文字を冠する神奈川の支配者──「四洲連合」である。
四洲連合を倒して全国制覇を成し遂げることは、阿修羅一家の悲願だった──。