第1巻「ヤクザの仔」

〝ヤクザの子〟であるがゆえにカタギ社会で壮絶な虐めと虐待を受けてきた孤児、降魔千優。だがそんな彼を生き地獄から救ったのもまた、ヤクザの子である毘沙門隼斗だった。隼斗は言った。「自分の『血』を決して恥じるな。おまえはこの街で胸を張って生きろ」──と。

あらすじ

ヤクザの父を抗争で失い孤児となった降魔千優と妹·白雪は、ヤクザの子であるがゆえに養護施設と学校で蔑まれ、壮絶な虐めの果てに千優は冤罪で久里浜少年院へ収監され、白雪は不良少年クループ「ケルベロス」に拉致強姦されてしまう。
弱者が弱者を蔑む差別と偏見に満ちたヘドロのようなこの世界に絶望し、妹と心中しようとした千優を救ったのは、「毘沙門組」組長の息子、毘沙門隼斗だった。隼斗の男気と優しさ、そして誰よりも熱い情熱に触れ、まるで春の雪のように溶かされてゆく千優の心と身体──。

だが、そんな千優の幸福を嘲笑うかのように、不穏な影はひたひたと足下まで迫っていた。
この数ヶ月の間に、四洲連合系組長三人が不審な失踪を遂げていた。
〝舜帝〟こと「四洲連合」若頭──帝釈舜は、この一連の〝神隠し〟が四洲連合を手に入れようと画策する「阿修羅一家」の陰謀と確信し、自身配下の精鋭を護衛として各組織に派遣した。
飽くことのない極道達の縄張り争い。日本の裏社会は今、風雲急を告げようとしていた。